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ジェンダー・フリー Q&A

そこが知りたいジェンダー・フリーって何? QアンドA

                     ジェンダー平等社会をめざすネットワーク

Q1 ジェンダーって何ですか。なぜ日本語でいわないのですか。
A1 ジェンダーという言葉は、「社会的に形成された性差」をさす言葉です。つまり生まれつきではなく、誕生後に、家族や社会によって後天的に育てられる性差をいいます。言葉づかい、衣服、行動様式など、ひとことでは言えないくらいです。日本語ではこれをあらわす言葉がないので、カタカナ語で使用しています。
Q2 生まれつきの性差はあるでしょう?
A2 もちろんあります。生物学的なちがいをセックスといいます。染色体が女性はXX、男性はXYですし、性と生殖に関わる機能がちがうのは明らかです。
しかしその他の身体面の特徴は、平均値でいわれることが多く、必ずしも個々人にはあてはまりません。例えば「身長は男性が高く、女性は低い」というのは平均値であって、ある女性がある男性より背が高いことは当然ありえます。
また、生物学的に「ヒト」は男女の2種類だけに分かれるのではなく、その中間に、少数ではあっても様々な形態(XXYなど)があることも明らかになっています。
Q3 ジェンダーって、男らしさ・女らしさと同じですか。
A3 大体は同じといえるでしょう。でもニュアンスが少し違います。日本語の「男らしさ・女らしさ」は、生まれつきの性差から自然に派生すると意識されています。「女(男)だから、当然女(男)らしいはずだ」などと。
しかし一方、「女(男)らしくない」という非難が使われるように、「女(男)だからといって女(男)らしいとは限らない」ことも意識されています。男らしさ・女らしさは実はジェンダーで、社会的に男・女はこうあるべきという教育がされている、しかし、すべてがその枠に収まりきれるわけではないと考えると、この矛盾が理解できます。
「ジェンダー」は、社会的な性差はその社会によって作られるのだから、意識が変わればジェンダーを変えることは可能だという考え方の基礎をなすものなのです。
Q4 ジェンダーに敏感になる」とはどういうことですか。
A4 ジェンダーは、「常識」という形で意識されずにきました。しかし、社会的に形成されたものだという見方から見ると、はじめて気づくことがたくさんあります。
例えば、学校では、名簿は「男子が先、女子は後」、ランドセルは「男子が黒、女子は赤」が当然などと考えられていましたが、ジェンダーに敏感になった時、それが見直されるようになったのです。
また、たとえば日本では国会議員や企業の役員など、社会的に責任ある地位に女性が占める割合が世界的に見ても非常に低いです。しかしこれは日本の女性が男性よりも能力が低いことを意味するものではありません。日本の社会通念や政治、経済のしくみから、女性が出にくいしくみになっているのです。そう見れば、どこを変えるべきなのかがはっきりしてきます。
Q5 ジェンダー・フリーって何ですか。
A5 性別によって生き方を決めると、個人がその力を発揮することが妨げられます。そのため男女共同参画社会基本法は「男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる」社会の実現が緊要な課題であるとしているのです。男はこう、女はこうという固定観念をジェンダー・バイアスといいます。このジェンダー・バイアスから自由になるという意味でジェンダー・バイアス・フリーといい、これを短くしたのがジェンダー・フリーです。性による差別をせず、一人一人の個性を大事にして行くという意味で使われています。
英語にもありますが、あまり使われてはいないようです。1995年に東京女性財団が作った「あなたのクラスはジェンダー・フリー?」という本から、学校などで広く使われるようになりました。
Q6 いい意味の男らしさ・女らしさはあるのではないですか。
A6 個人個人がこうありたいと思うことはもちろん自由です。「男らしい」男性と「女らしい」女性が共に幸せならば、何もいうことはありません。ただ、人に対して「男(女)らしくしろ」という場合には、その人がいやだと思うことを強制することにつながりかねません。自分にとっての「いい意味」が、相手にとってもそうかどうか考える必要があります。
また、テレビでも、広告でも、マンガでも、あらゆる場面でジェンダーのステレオタイプが過剰に見られます。例えば女性は若さと美しさ、男性は体力と社会的地位が強調されています。
「男(女)らしさ」はこれまで、男性は社会的に収入を得て家族の生活を支え、女性は家庭内の家事・育児・介護などの無償労働を担い、かつ社会的にも働くという性別役割分業と表裏一体となってきました。それが女性にとって様々な差別の原因になってきたばかりでなく、男性にとっても生きづらさにつながっているということが次第に意識されてきています。
Q7 ジェンダー・フリーは男らしさ・女らしさをすべて否定するのですか。
A7 そんなことはできないし、するつもりもありません。
2003年に鹿児島県議会にだされた陳情では、学校名をあげて、「行きすぎたジェンダー・フリー教育」の具体例として、高校で男女が一緒の更衣室で着替えさせられた、高校の修学旅行で男女が一緒の部屋に宿泊させられた、男女一緒の身体検査があったなどと非難しました。しかし新聞社の調査によって、これらはすべて事実無根であったことが証明されています。
なぜこのようなデマを流すのか、理解に苦しみます。はっきりしていることは、「ジェンダー・フリーは学校現場に混乱をもたらしている」と言っている人々自身が、混乱をひき起こしているということです。
Q8 でも日本はもう十分男女平等でしょう。
A8 残念ながらそうではありません。国会議員や企業の役員に女性がしめる割合が低いだけでなく、男女の賃金格差も依然として大きいです。またセクシュアル・ハラスメントや夫婦間・恋人間のDV(ドメスティック・バイオレンス)も後を絶ちません。これらは女性の人権が未だに尊重されていないことの表れです。もちろん男性の人権も大切です。現在は企業のリストラ・失業率の増大などで男性の人権もないがしろにされ、そのはけ口が女性に向かうという構造も無視できません。
Q9 ジェンダー・フリーって、使ってはいけない言葉なんですか?
A9 そもそも、だれも「使ってはいけない言葉」を決めることなどできません。著しく人を傷つける差別用語は、社会的な合意の中で使われないようになってきましたが、ジェンダー・フリーはそうではありません。8月26日に東京都教育委員会が「ジェンダー・フリーという用語を使用しない」という見解をだしました。教育委員会自体が使用しないのは自由でも、見解をだす必要もなく、ましてや都の教職員などに使用するなという権限は全くありません。
Q10 でも、国が使ってはいけないと言っているのでしょう?
A10 そんなことはありません。2004年に内閣府がジェンダー・フリーの使用に関する考え方を出していますが、「差別をなくすという意味で、定義を明らかにして使用しているものは問題ない」といっています。(資料1)しかし、この中の「今後新たに制定する場合には、あえてこの用語は使用しない方がよいのではないか」という部分は国の越権行為です。2003年3月内閣府の男女共同参画局のホームページに板東真理子局長名で出された見解(資料2)と比較すれば、国の男女共同参画社会実現の姿勢が後退しているのではないかと危惧されます。また2000年3月には、中曽根弘文文相が「ジェンダー・フリーの世の中にしていく。」と国会答弁を行っていたことも忘れることはできません。

 

資料1 「ジェンダー・フリー」の使用に関する内閣府の考え方(2004年4月)
「ジェンダー」の使用状況等について
「ジェンダー」という用語は1995年の第4回世界女性会議で採択された北京宣言及び行動綱領において、生物学的な性別を示す「セックス」に対して、社会的、文化的に形成された性別を示す概念として使用されています。
男女共同参画社会基本法においては「ジェンダー」という用語は使用していませんが、男女共同参画基本計画においては、「社会的、文化的に形成された性別(ジェンダー)」と規定し、これに敏感な視点などの形で使用しています。
「ジェンダー・フリー」の使用状況等について
「ジェンダー・フリー」という用語は使用する人によりその意味や主張する内容は様々であり、北京宣言及び行動綱領や最近の国連婦人の地委員会の年次会合の報告書などでは使われておりません。
また、男女共同参画社会基本法、基本計画等においても使用しておらず、内閣府として定義を示すことはできません。
なお、一部に、画一的に男女の違いをなくし人間の中性化を目指すという意味で「ジェンダー・フリー」という用語を使用している人がいますが、男女共同参画社会はこのようなことを目指すものではありません。
地方公共団体における「ジェンダー・フリー」の使用等について
一般論として言えば、地方公共団体の条例、計画等においてどのような用語を使用するかについては、それぞれの地方公共団体が判断すべき問題です。
最近の「ジェンダー・フリー」という用語をめぐる誤解や混乱の状況をふまえると、今後新たに地方公共団体において条例等を制定する場合には、あえてこの用語は使用しない方がよいのではないかと考えております。
なお、地方公共団体において、差別をなくすという意味で、定義を明らかにして使用しているものについては、問題ないと考えております。
男女共同参画社会について誤解や混乱があることは適当ではないので、今後あらゆる機会をとらえて、正確な理解のための広報啓発、個別紹介への対応を行ってまいります。
資料2  男女共同参画局メール第34号(2003年3月7日)
・・・「ジェンダー・フリー」という言葉は内閣府の文書では使っていないが、抑圧や差別をなくするという意味で、地方公共団体の方で定義を明らかにしてこの言葉をお使いになることは、何ら問題ない(改めて言うまでもないが、地方公共団体の意思を尊重することが地方分権の理念である)のは今更言うまでもない。・・・
(板東真理子 男女共同参画局局長)