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2016年3月24日(木)

通級学級の制度改変に伴い、都教委から回答

東京都では、「東京都特別支援教育推進第三次計画」に基づき、来年度より情緒障害等通級指導学級での通級指導を、すべての学校に特別支援教室を設置しそこで巡回指導を行うという施策が実施されようとしています。(2016年度~3ヵ年で実施)一方、国連の障害者権利条約の批准に向けて国内法の整備が進められ、その一環として障害者基本法が2011年に改正され、2013年には障害者差別解消法が制定されました。さらに本年4月の2016年度新学期からは、障害者差別解消法の施行により、公立学校においても、差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供が義務となっています。しかし、通級学級の現場では4月からの制度改編についてさまざまな課題があり、不安の声が広がっています。例えば、通級学級から特別支援教室での指導に変わることにより、通級の必要がなくなるというメリットのため、特別支援教室での指導を希望する児童が大幅に増えています。それにより、特別支援教育について十分な経験を持った教員を必要数配置出来るのか。また、拠点校と巡回光の兼務発令を受けることになる巡回指導教員について、移動中の安全確保や、二校以上を兼務することに伴い業務量の増大が懸念されるなどです。

この施策の開始は、各区市町村で時間差があるため、区市町村ごとに教育員会と交渉・協議が必要となります。

東京教組は、この問題で都教委と折衝を重ね、2月19日に要求書を提出し、2月29日に回答を受けました。要求項目と都教委の回答は以下のとおりです。

東京教組の要求項目 都教委回答
  1. 1.   小学校における特別支援教室の設置・開設・運用にあたっては、法の理念を尊重しインクルーシブ教育の推進に向けておこなうこと。担当する教職員および特別支援教室専門員には、「障害者権利条約」「障害者差別解消法」「合理的配慮」などについて、十分な研修の機会を保証すること。
特別支援教室の巡回指導教員等、発達障害教育を中心となって担う教員を対象に発達障害の児童生徒の行動特性や指導の在り方について研修を行うなど、内容の充実を図ります。また、新たに特別支援教室の担当となる教員等に対し、異動前の講習会を実施するとともに、特別支援教室専門員を効果的に活用するため、特別支援教室専門員に対して採用時の講習会を実施します。
  1. 2.   特別支援教室での巡回指導を希望する児童の認定、児童数の確定、担当教員数の算定に係るスケジュールを明らかにし、現場に対して速やかな情報提供を行うこと。
都教育委員会は、区市町村教育委員会の学事事務担当者向けに毎年5月及び10月、就学相談事務担当者向けに6月に特別支援学級の学級編成事務についての説明会を実施しています。その中で、特別支援教室における指導児童数の算定方法や年間の事務スケジュールについても説明を行っています。担当教員数については、地教委からの申請に基づき児童数が確定した後に決定します。
  1. 3.   巡回指導を希望する児童・生徒の認定にかかる審査について、適正かつ効率的に行うよう区市町村教育委員会を指導すること。
特別支援教室を含めた通級による指導の対象となる児童・生徒は、各区市町村教育委員会において通級指導学級判定委員会などの医師等の専門家を含めた組織を設置するなどにより、適切な判断を行うこととしています。今後も、区市町村教育員会が適切な判断を行っていけるよう助言を行っていきます。
  1. 4.   巡回指導を担当する教職員数の算定を速やかに行うとともに、教職員数を当該の区市町村教育委員会に伝えること。
担当教員数については、地教委からの申請井基づき児童数が確定した後に決定し、通知を行います。
  1. 5.   巡回指導を担当する教職員については、可能な限り障害児教育についての十分な経験を持った教員を配置させること。特に、新規採用者・期限付き採用者を配置することは、可能な限り避けること。
巡回指導を担当する教員については、地区教育委員会の人事構想や全とのバランスを考慮して、配置します。
  1. 6.   特別支援教室では、通常学級からの取り出しだけではなく、担当する巡回指導教員が通常学級内で支援指導を行うことも可能とすること。
巡回指導教員は、特別支援教室における指導・支援のみならず、通常の学級における発達障害の可能性のある児童の行動観察等を行い、どのような指導・支援が必要である下の所見を校長に報告するなどの活用も想定しています。
  1. 7.   空き教室を利用しての「特別支援教室」の開設では、次年度以降継続して教室の場所の確保ができない恐れがある。次年度以降も確実に設置できるよう学校と十分な協議を経て設置するよう、区市町村教育委員会を指導すること。
特別支援教室の教室環境整備については、教室の空き状況や指導児童数など各小学校で実情が異なるため、それらの実情に応じて各区市町村が適切に判断する物です。
  1. 8.   拠点・巡回校グループの配置は、身体に疾患がある巡回指導教員でも学校間を容易に移動できるように、安全面や利便性を十分に配慮して行うこと。
拠点・巡回校グループは、各区市町村教育委員会が、各小学校の規模・対象児童数・小学校間の距離・異動の利便性等の実情に応じて決定するものです。
  1. 9.   巡回指導教員の巡回校における主たる業務は、特別支援教室における指導であることを、巡回校の管理職へ周知すること。
巡回指導教員は、巡回校において特別支援教室における指導のみならず、在籍学級での児童の行動観察や、校内委員会への出席、保護者対応等、様々な職務に従事します。巡回校の校長は、当該職務に専念できるよう行内体制を整えるよう周知しています。

 

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