岡ヨシエさんを悼む
2017年5月19日、岡ヨシエさんは86歳でお亡くなりになりました。
岡さんは1945年、高等女学校の3年生だった14歳のときに、広島城にあった旧日本軍の司令部に連絡係として学徒動員され、原爆が投下された直後に「広島が全滅です。新型爆弾にやられました」と電話で第一報を軍に伝えたとされます。自身も原爆の後遺症に苦しみつつ、当時の体験や平和への願いを訴える証言活動を長年わたってされてきました。
岡さんの訃報を知ったのは、この報告文集の編集作業を終え、帰宅の電車の中でした。今回の派遣団でも、お話を伺う予定でしたが、体調を崩して入院していたため、岡さんの体験を語り継ぐ伝承者の方にお話を伺いました。
広島城公園の岡さんたちが寝泊まりしていた宿舎があった場所に、友人たちと植えた「エノキ」と「クチナシ」を見ました。その側から岡さんが入院する広島市民病院の病室を見上げたことが、最後のお別れになってしまいました。
東京・ヒロシマ子ども派遣団での証言は、1996年から15回していただきました。薄暗い地下通信施設跡で語っていただいたことで、原爆投下前後情景を生々しく想像することができました。80歳を超えても一時間以上立ったまま話す姿を、派遣団に参加していた多くの子どもたちが真摯に話を聴いていました。
「戦争ほど愚かなことはない」と強く語っていた岡さんの言葉を私たちは忘れません。二度と原爆を投下させることを許さず、平和な世界を創っていきます。
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
2017年5月
東京・ヒロシマ子ども派遣団 実行委員一同