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2024年5月22日(水)

東京教組第48回定期大会を開催、今年度の運動方針・スローガン等を決定しました

 5月18日(土)、日本教育会館で東京教組第48回定期大会を開催しました。
都内各支部から代議員が集い、学校現場を覆っているさまざまな問題について、現状を報告し合ったり、どのような運動を展開していくのかを討論しました。
 大会の詳細については、組合員の皆さんには後日、機関紙「WEEKLY東京教組」でお知らせします。
 議事の最後に、2本の決議文の採択と大会宣言を決定しましたので、以下に記載します。

本当の「働き方改革」に向け、仲間と手をとり合い支え合う決議

 今の学校現場では、お互いに忙しく、笑い合ったり、冗談交じりで話し合ったりする余裕がない。それどころかお互いを気遣いフォローする余裕すらない。年度途中での退職者や休職者は絶えることがなく、現場のさらなる多忙化を招いている。そうした中「働き方改革」の名の下、仕事の効率化や表面的な在校時間の短縮が求められ、効率重視の職場では民主的な議論が激減している。長時間労働は個人の能力の問題とされ、ますます職場が分断されている。「忙しい」という文字通りの「急き立てられて落ち着かない・何もなくうつろ」な状態で、私たちは思い描いていた教育ができるだろうか。そんな私たちの姿を見てこどもたちは何を思っているだろうか。
 「教職員の生活時間を取り戻し、この先もずっと働き続けられるようにする」「これから教職に就こうという人を増やす」「同僚と支え合いながら成長していける職場環境を整える」これらのためには、本来の勤務時間に見合う仕事量にすることと、人員の確保が必要である。学校現場における「働き方改革」は現段階では内容も予算も不十分と言わざるをえない。長時間労働、職場環境悪化の原因は、教員個人の能力の問題ではなく、文部科学省や自治体による現実に合わない膨大な学習内容の設定と、予算不足、過剰な管理など、教育行政によるものである。

 昨年度の青年部アンケートでは、毎日11時間以上勤務の人が88%であり、回答者のうちの3割しか「退職するまで続けよう」と思えていない現状が明らかになった。青年部の都教委要請では都下の青年部が大勢集まり、このアンケート結果を基に、現場で多くの割合を占めている20代~40代が直面している問題を示し、現場の生の声を届けることができた。このような要請は『組合』だからこそできたといえる。アンケートで実態をつかむことも、働く現場の環境を整えるための要請行動も一人ではできない。

 私たち東京教組は、これまで仲間と手をとり合い、働く者の権利を地道に勝ち取ってきた。産育休や看護・介護にかかわる休暇、時差勤務などは先輩たちの長く粘り強い闘いによって勝ち取ってきたものである。今年度から実施された中途採用者の採用月の通勤手当支給も組合の長年の要求事項が実現したものだ。
 これらの権利が当たり前ではないこと、権利の維持・改善のためには組合がなくてはならないことをここで確認し、組織拡大に向けて活動を続けていこう。
 『今、学校が「大ピンチ」』ということが、“今”たくさんの人が認識しはじめ、関心を寄せ始めている。だから、今、そしてこれからも、団結し、東京教組の組織を強くし、本当の「働き方改革」に向け、仲間と手をとり合い、支え合っていこう。

以上、決議する。

2024年5月18日
東京都公立学校教職員組合 第48回定期大会

憲法を守り、平和・人権・環境の教育を推進する決議

 ウクライナに対するロシアの侵攻が始まって2年3か月が過ぎ、昨年イスラエルがパレスチナのガザを攻撃した。ウクライナでもガザでも、多くの市民、とりわけ子どもたちが犠牲になっており、どちらの戦争も即時停戦を求めよう。
 また国内においても、沖縄県民の民意を無視した辺野古新基地建設の強行は続き、台湾有事に対する危機を煽っている。また、かつて民主化を訴えて民衆が立ち上がった香港やミャンマーでは弾圧が続き、香港では表立った運動ができない状況にある。21世紀初頭は20世紀初頭と同様の「戦争の世紀の始まり」となってしまった。
 愚かな歴史を繰り返さず、戦争の火種を消し去って21世紀を平和の世紀と転換するために必要なのは、戦争の準備をすることではなく、日本の平和憲法の精神を世界に広めていくことである。ところが今国会で多数を占める改憲派は、9条に自衛隊を明記することを主眼とし、緊急事態条項や教育無償化など国民が受け入れやすい項目とセットに改憲を狙う自民党の4項目改憲を基にした議論を進めている。憲法審査会は既成事実として毎週のように開催され、すでに議論が熟されたと改憲発議を要求する声すら上がっている。平和主義・国民主権・基本的人権の尊重という憲法の3本柱をなし崩しにする憲法改悪を推し進めさせるわけにはいかない。ウクライナやガザで起こっていることからも明確になった「戦争の準備をするから戦争が起こる」という単純な理屈をもっともっと広めていかなくてはならない。

 一方、日本政府の環境問題や人権に対する鈍さも深刻だ。特定の宗教団体を背景とする伝統的な家族観に固執し決して夫婦別姓を認めようとしない政府与党の在り方や、難民の人権に配慮しない入管法の改訂など、人権後進国としての汚名の上塗りを重ねている。今国会で審議されている共同親権もDVや性犯罪を擁護する可能性のある悪法である。また5月には水俣病患者・被害者らと環境相との懇談時に環境省職員が被害者らの発言を制止する問題も発生した。これらに通底するのは、当事者へのまなざしの欠如だ。少数派の権利擁護という民主主義の基本を忘れ、弱者を切り捨て、多数派が自分たちのことしか考えない、こうした政治にストップをかけなくてはならない。

 これらの状況を転換し、平和な社会へ向かう理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。戦争に反対し平和を希求し、環境破壊を食い止め、真に人権が守られるための当事者へのまなざしをもつ人格の完成を目指す教育を追求しよう。理想に向かう我々を守ってくれる根本にあるのが憲法である。語りうる希望を護り、創造するためにも、平和主義・国民主権・基本的人権の尊重・の憲法の三大原則を護持し続けなければならない。
 「法はきれいな水源のようなものである」というセリフが最近のドラマにあった。憲法というあらゆる法の源を、濁らせ毒を垂れ流す策動から守る行動に邁進しよう。そして、あらゆる人の人権を尊重し、専制と隷従、圧迫と偏狭を無くし、平和を語り続けよう。
 以上、決議する。

2024年5月18日
東京都公立学校教職員組合 第48回定期大会

大会宣言

 2024年は、大きな震災と飛行場での大事故など衝撃的な幕開けとなりました。地震と津波により大きな被害を受けた能登地方ではインフラの復旧もまだまだ進んでおらず息の長い支援が必要です。3.11の経験が生かされた連合・日教組の支援や、教員を含めた公務員の活躍はあったものの、国の支援は全く不十分です。まだまだ課題も多く、特に避難所運営には女性の視点を取りいれ、 性被害など起こらないように啓発することも大切です。
 さらに国が推進に舵を切った原発政策について大至急見直しを求めましょう。今回志賀原発に放射能拡散の大事故がなかったのは本当に不幸中の幸いといえます。また珠洲市への原発誘致計画を住民の力によって跳ね返していたこともしっかりと記憶にとどめ、地震大国での原発の増設に絶対反対の意思を再確認し合いましょう。

 沖縄では民意を無視した辺野古新基地建設が未だ進められています。新たな自衛隊基地を造ることで「攻撃目標になり非常に危ない」と沖縄県知事が、南西諸島の防衛強化を危惧しています。横田基地所属のオスプレイが屋久島沖で墜落し、一時は全世界でオスプレイの運用が停止していたにも関わらず、3月には飛行が再開し、東京の上空にも危険なオスプレイが飛び続けています。沖縄のガンジーと言われる阿波根昌鴻さんの「剣をとる者は剣 にて亡ぶ。基地をもつ国は基地で亡び,核を持つ国は 核で亡ぶ。」という言葉を忘れず、危険な基地・核兵器の存在に反対し続けましょう。

 また、教育現場に目を向けると、 相も変わらずパワハラや長時間労働等の人権問題、 労働問題が山積みです。管理職の目に怯えながら教壇に立ったり、向精神薬を服用したりしながら教壇に立っている仲間もいます。果たしてこれで子どもたち一人ひとりを大切にする教育ができるでしょうか。
 中教審の「質の高い教師の確保特別部会」において、教師の過酷な労働実態と処遇の改善も議論されましたが、残業の抑制となる具体策には乏しいことが現状です。むしろ教職調整額を引き上げることで、野放しの「働かせ放題」の状況を容認してしまいかねない危惧があります。
 子どもたちに豊かな教育をするには、私たち教職員が心身ともに健康でなければなりません。プライベートも仕事も充実した生活ができ、定年まで安心して働き続けられる職場にするために、団結し闘い、組合の重要性を今後もアピールしていきましょう。

 私たちは、このような状況の下、真摯な討論を経て、 本日ここに今年度の運動方針を確立しました。私たちが長年掲げてきた、 「教え子を再び戦場に送るな」のスローガンは、かつて教育現場が侵略戦争の遂行に協力したことに対する、 深い悔恨と反省のもとに立つものです。この国に再び、 戦争への道を歩ませてはなりません。そのために私たちは、 教育労働者としての権利を確立し、 多くの市民とも連帯して、 本日確立した方針のもと運動を強固に進めていきましょう。
 以上、 宣言します。

2024年5月18日
東京都公立学校教職員組合 第48回定期大会


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