男女混合名簿Q&A

そこが知りたい 男女混合名簿 QアンドA
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(注)
以下の文書は、2004年10月26日付の文書です。内容は基本的に今も変わりませんが、今は男女混合名簿とは言わず、「性別によらない名簿」と言っています。

Q1 「男女混合名簿」とは何ですか。
A1 学校で、児童・生徒の名簿を全員のアイウエオ順に並べる名簿のことです。
Q2 混合名簿でなければ、どんな名簿が使われているのですか。
A2 いろいろありますが、これまで多かったのは、男女別々にアイウエオ順に並べて、男子を先、女子を後に並べる男女別名簿でした。学校で男女別名簿を使用している国は世界的には極めて少なく、1985年のナイロビ世界女性会議での参加者の調査では18か国中、日本とインドだけでした。
Q3 男女混合名簿といわなくても、一般社会では普通の名簿ではないですか。
A3 そうなのです。学校でも教職員の名簿は男女別ではありません。着任順(その学校に何年目か)や経験年数などで並べることもあります。学校外では、何かの会員名簿や、病院の患者名簿などを考えても、一般的には名簿を男女別にする方が珍しいのではないでしょうか。
Q4 学校で混合名簿にするのは、何が目的なのですか。
A4 男女別だとどうしても習慣として男子が先になるので、男子が優先、女子は後回しということが多くなります。性別によって優先順位が決まるのは好ましくありません。かといって女子を優先にしても同じことです。男女平等を教えるためには、性によって順位をつけない混合名簿がふさわしいのです。
Q5 混合名簿は、児童・生徒にとってどんな点がいいのですか。
A5 ひとつは、子どもたちの中に、なんでも男子が優先という考えがなくなります。男女別名簿の時は、何かで女子を先にすると男子が「おかしい」と主張しました。逆に女子は、いつも男子が先でもそれを当たり前ととらえて黙って待っていました。混合名簿になると、こうしたことがなくなりました。また、男女の隔たりがなくなり、自然に仲がよくなりました。分けている時は男女一緒にすることにこだわりや抵抗がありましたが、混合名簿になると一緒に活動したり、遊んだりするのが当たり前になりました。
Q6 混合名簿は、先生にとってどんな点がいいのですか。
A6 先生の中にも、知らず知らずのうちに「男子はこう、女子はこう」と、無意識に分けてみる見方が身に付いています。混合名簿になると、男子だから、女子だからでなく、一人一人の生徒の個性がよりはっきり見えるようになりました。また、何かの係を決める時も、「教科書運びに男子何人」とか、「保健係に女子何人」と性別で分けがちでした。でも女子の中にも教科書を運びたい子ども、男子の中にも保健係をやりたい子どもがいます。性別にかかわらず「やりたい人」と募ることができます。先生の中の固定観念をなくし、子どもたち一人一人の個性を伸ばす上でも、混合名簿は役に立ちます。さらに、「男のくせに泣くな」とか「女子はお茶くみを手伝え」というような性別によって異なる指導も減っていきます。
Q7 混合名簿にすればすべて男女平等になるのですか。
A7 もちろん名簿だけで平等になるわけではありません。第一歩を踏み出すということです。「国連人権教育の10年」でも、男女平等のための教育の必要性が課題の1番目にあげられていますが、性差別をなくすためには、授業や行事などあらゆる場面で、人権の視点を持って取り組む必要があります。しかし、名簿は学校で基本的なものであるだけに、名簿が変わると他の様々な面でも立ち止まって考えるきっかけになります。そのため、「たかが名簿、されど名簿」といわれるのです。
Q8 小学校では男女別に教育していることはあるのですか。
A8 現在小学校では、教育内容は体育や家庭科などもすべて男女一緒にやっています。しかし、体育やプールの着替えは男女別々にすべきです。現実には男女別の更衣室が完備されていない学校がまだあるので、至急完備してほしいです。トイレももちろん男女別です。身体測定は、内科検診や心電図などは男女別に行いますが、これらは男女別というより、一人一人カーテンやしきりの中で、個人で受けるようにする方向をめざすべきです。移動教室などの宿泊行事の時は、昼間の行動班は男女一緒に、宿舎の部屋は男女別に分けています。
Q9 中学校では男女別に教育していることはあるのですか。
A9 中学校ではQ8の小学校と同じことの他に、教科として体育で男女別に授業を行うことが多いです。一部分は男女混合で体育をやる学校は大部増えてきました。保健の授業は男女一緒に行っています。体育の成績は男女別の基準でつけています。従って体育では、混合名簿の他に男女別名簿を使っていますが、コンピューターを使えば簡単に作ることができます。
Q10 東京都では、いつ頃から男女混合名簿を推進してきたのですか。
A10 1999年に国で男女共同参画社会基本法が、2000年に都で東京都男女平等参画基本条例が制定されました。条例に基づき2001年7月「東京都男女平等参画審議会答申」が出され、教育の分野で男女混合名簿の推進が打ち出されました。これに従い東京都教育委員会は、同年12月に「男女平等教育の推進のために」というリーフレットを発行し、「男女平等参画社会の実現に向けて、学校教育においては、出席簿等の名簿の取り扱いによって、児童・生徒に男子優先の固定観念をうえつけることにないように十分配慮することが必要です。そのために男女混合名簿の導入が必要です。」と述べて、全都の学校で男女混合名簿を推進してきました。
現在では、小学校81,6%、中学校42,9%、全日制高校83,9%、定時制高校95,8%、障害児学校100%で混合名簿が使われています。
Q11 都立高校ではずっと前から混合名簿の学校もあったのではありませんか。
A11 ありました。都立日比谷高校、戸山高校、西高校などでは混合名簿でした。これは、戦前男子のための中学校だったため、戦後女子の比率が大変少ない時期があり、そのために混合名簿であったのではないかと推測されます。
Q12 全国ではどのくらい使われているのですか
A12 混合名簿は、静岡県では100%、神奈川県では小学校で98,3%、中学校で91,4%です。全国では、文部科学省の調査はありませんが、日教組の調査では2003年度で、71,3%となっています。