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労働条件(労働安全衛生体制)

「ゆとり」と「やりがい」を保障する労働条件を

長時間労働を解消し、働きやすい職場をつくるために
すべての学校で労働安全衛生体制を推進しましょう

文科省は12月25日に「公立学校等における労働安全衛生管理体制の整備に関する調査について(結果)」を発表しました。今回の調査結果について、文科省は、速やかな体制整備とともに、実効ある「労働安全衛生対策の推進」について言及しています。

東京の精神疾患は過去最多

東京の学校現場は非常に厳しい労働環境となっています。指導要領の改訂に伴う授業時数の増加等により、振替休業日なしの土曜授業が常態化している学校も増え、学校現場における多忙化はますます激しくなっています。2010年12月に発表された文科省調査によると、2009年度に病気で休職した教職員8,627人のうち、精神疾患によるものが5,458人(63%)となり、過去最多を更新しました。カウンセリングや専門医による助言・指導など、プライバシーに配慮しながら教職員に対するメンタルヘルス体制を強化するとともに、学校業務を軽減し、常態化している超過勤務を減らすことが急務です。

教職員の健康と安全は、校長・教育委員会の責任

教職員の職場での危険防止(安全)と健康障害防止(衛生)をする責任は、学校の設置義務者である区市町村教育委員会と学校の責任者である校長にあります。それにもかかわらず、労働安全衛生法上の事業者としての自覚を持たない区市町村教育委員会が多く、安全衛生体制整備の大幅な遅れが出ています。
東京教組は、職場の多忙化や長時間勤務の解消にむけ、安全衛生体制の確立をめざしたとりくみをすすめてきました。労働安全衛生法等に基づく管理体制の整備は、教職員が意欲を持って教育活動に専念できる適切な労働環境の確保に資するものであり、ひいては、子どもたちへの教育に関わる重要なものです。働きやすい職場をつくるために、全ての職場で「労働安全衛生体制」を推進しましょう。
文科省は、前回調査に比べて、全体的な傾向としては改善が見られるものの、特に小中学校における衛生管理者や産業医の選任、衛生委員会の設置、学校給食調理場における安全管理者や安全衛生推進者の選任等に関する状況が未だ低い水準にとどまっています。と指摘し、「学校及び学校給食調理場における労働安全衛生対策に万全を期していただくようお願いします」とした上で、「体制整備のみならず、衛生管理者や産業医等による現場巡視や衛生委員会の開催等、労働安全衛生対策の更なる推進をお願いいたします」と結んでいます。

東京の産業医による面接指導体制の整備率はわずか38.3%

特に問題なのは、ほとんどの小中学校が該当する「教職員が50人未満の学校」における「面接指導体制」の整備が38.3%と全国的に見ても非常に低い整備率に止まっているということです。
2008年4月1日より、すべての学校において、医師による面接指導を実施することができる体制を整備することが求められているにもかかわらず、整備率がわずか38.3%に止まっているという事実こそが、区市町村教育委員会や学校長が労働安全衛生法上の事業者としての当事者意識を持っていないということを如実に表していると言ってもよいでしょう。
週40時間を超える労働が月100時間を超え、かつ、疲労が認められる教職員については、教職員の申出を受けて、遅滞なく、医師による面接指導を行う必要があります。
また、そうではない教職員でも、健康への配慮が必要な者については面接指導等を行うよう努める必要があります。多くの職場でこの面接指導が行われていないということになります。

勤務時間の適正な把握は管理職の義務

文科省は、この通知の中の「学校における労働安全衛生体制整備の際の留意点」の中で、「学校は教職員の勤務時間の適正な把握に努める必要があります」として、2001年4月6日付けの厚生労働省労働基準局長通知「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」に示されている以下の主な内容を紹介しています。
(1)使用者は、労働時間を適正に管理するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。
(2)使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること。
ア)使用者が、自ら現認することにより確認し、記録すること。
イ)タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録すること。
したがって、全ての職場において管理職は教職員一人一人の始業・終業時刻を確認し、これを記録しなくてはならないということです。
そして、月100時間を超える超過勤務者や健康への配慮が必要な者については、医師による面接を実施しなければなりません。
多忙化に歯止めがかからず、振替のない土曜日授業や際限の無い超過勤務が常態化している学校現場において、「勤務時間の適正な把握」は多忙化解消の第一歩です。