HOME ニュース

ニュース

2024年5月30日(木)

無実を叫び61年!東京高裁は事実調べ・再審開始を!~狭山事件の再審を求める市民集会が開かれる(5/23)

自身の無実と再審請求を力強く訴える石川一雄さん。右は妻の石川早智子さん。

 5月23日(木)に日比谷野外音楽堂で、狭山事件の再審を求める市民集会「無実を叫び61年!東京高裁は事実調べ・再審開始を!」が開かれました。冤罪事件であり、部落差別事件であるこの事件から61年。5月23日は、事件とは全く関係のない石川一雄さんが61年前の1963年に逮捕された日です。嘘の「自白」を強要され、この事件の「真犯人」としてデッチ上げられ、無期懲役で確定判決となった石川一雄さんは、今もなお、無実を叫び続けています。石川さんは32年の獄中生活を余儀なくされ、現在はあくまで仮出獄の状態に過ぎず、「みえない手錠」は今も外されていません。
 この日は、石川さんご夫妻の力強い訴えをはじめとして、部落解放同盟や石川さんと連帯する政党の代表、それから石川さんと同じく冤罪で自由を奪われた足利事件の菅家利和さんや、前日の再審でも検察がなお驚きの死刑求刑をした袴田事件の支援者の山崎俊樹さん(袴田巌さんご自身は、長期の禁固で心身の健康を崩され、この日は残念ながらいらっしゃることができませんでした)が怒りの連帯を表明し、集会後は霞が関一帯でデモを行い、石川一雄さんの無実と事実調べや再審を行うことを訴えました。

 狭山事件が起きてから61年。事件を知らない人も増えてきています。以下に、この日の集会アピールを掲載します。事件の経過や現状がわかりやすく書かれています。

集会アピール
 61年前のきょう、警察は当時24歳だった石川一雄さんを別件で逮捕し、女子高生殺害の取調べを連日おこなった。警察、検察は勾留の期限が近づくと、いったん保釈、その場で再逮捕し、厳しい取調べを続けた。弁護士や家族との接見を禁止し、兄を逮捕すると脅してウソの自白を強要したのだ。冤罪が作り出されていく背景に部落差別があった。
 第3次再審では、裁判所の勧告で47年目にして、取調べを録音したテープが証拠開示され、61年前の冤罪の真相があばかれた。「脅迫状を書いたことに間違いない。君には供述する義務がある」と自白を強要する警察官らの発言が録音されていた。脅迫状を書いたことも殺害の方法も話せない石川さんに、警察官らは犯行の筋書きを押し付け、誘導し、自白させていたのだ。取調べ録音によって、当時の石川さんが非識字者であり、脅迫状を書けたはずがないことも明らかになった。弁護団は開示された筆跡資料をもとにコンピュータによる筆跡鑑定をおこない、石川さんが脅迫状を書いた犯人ではないことを明らかにしている。
 また、開示された証拠物の蛍光X線分析でインクの元素が異なることが明らかになり、有罪の証拠とされた万年筆が被害者のものとはいえないことが科学的に証明された。万年筆の発見経過のおかしさも心理学者による操作実験で明らかになっている。
 証拠開示と科学的鑑定によって、石川さんの無実と有罪判決の誤りが明らかになっている。弁護団は、東京高裁第4刑事部に事実取調請求書を提出し、有罪証拠の誤りを指摘した11人の専門家の証人尋問と、万年筆のインク資料の裁判所による鑑定の実施を求めている。
 そして、先日の三者協議でプレゼンテーションをおこない、昨年末に就任した家令和典裁判長と担当裁判官に、新証拠によって有罪判決の誤りがいかに明らかになったか、検察官の意見がいかに誤っているかを説明した。東京高検の検察官は鑑定人尋問もインク鑑定も必要ないと主張している。弁護団は検察官意見書への反論を提出するとともに、証人尋問について具体的に協議を進めるよう求めている。今後、これら双方の意見をふまえて、裁判所は事実調べおこなうかどうかを決定する。まさに最大の正念場だ。わたしたちは、弁護団と石川さんの訴えを後押しする世論をさらに大きくしていかなければならない。
 足利事件では、東京高裁が有罪の根拠となったDNA鑑定の再鑑定をおこない、菅谷さんの無実が明らかになった。袴田事件の再審請求では、静岡地裁はDNA鑑定や証人尋問をおこない、東京高裁も鑑定人の証人尋問をおこない再審開始を決定した。つぎは狭山だ!東京高裁第4刑事部が証人尋問とインク鑑定をおこない、狭山事件の再審を開始するよう強く求める。
 袴田さんの再審公判が結審した。わたしたちは、静岡地裁が、捜査機関による証拠ねつ造を厳しく指摘し、袴田さんに無罪判決をおこなうよう強く求める。そして、袴田さんの再審を教訓に、それに続いて、狭山事件の再審開始、石川さんの無罪判決をかちとるために全力で取り組む。事実調べ・再審開始を求める市民の声を東京高裁第4刑事部にとどけよう!
 袴田さんは58年、石川さんは61年も冤罪を叫び続けている。こうした長い冤罪との闘いを強いている再審手続きの不備を早急に変えていかなければならない。先日、超党派の「えん罪被害者のための再審法改正を早期に実現する議員連盟」が結成された。いまこそ、再審開始決定に対する検察官の不服申し立てを禁止し、再審における証拠開示を保障する再審法改正を国会に強く求めよう。冤罪犠牲者や支援運動と連帯し、冤罪根絶にむけた司法改革、再審法改正を実現しよう。
 事実調べをもとめる署名運動をさらにすすめよう!61年におよぶ石川さんの無実の叫びにこたえ「みえない手錠」をはずすまで全力でとりくもう!
 2024年5月23日
 狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

カテゴリ:ニュース反差別